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For example, such evening!?

 ★★★★★☆☆☆★★★★★★★★★★☆☆☆★★★★★★★★★★☆☆☆★★★★★

『ね、それで、どうなったの!?』
『どうって・・・何も・・・ないです・・・』
『何よ!それ!女にそんな事してそれっきりな訳~!良いわ!わたしが言ってあげる!!』
『エッ、アッ、駄目!!駄目です!!オンニ!!それは、辞めて下さい!!』
『何でよっ!!』
『ええっと、多分ヒョン・・・怒る・・・と思うので・・・』
『駄目ねー!!なーんでそこであいつの顔色なんか気にするのよ!?』
『それは・・・』
『ああーー、もう解った!!』

ユ・ヘイssiと一緒にお買い物に出掛けた帰り道、夕食に付き合いなさいと言われて、ヘイオンニの行き付けのレストランで食事をしていたら、行き成りどこまでいったのって聞かれた。どこまでって何ですかと聞き返したら、変な顔をされて、いつか睨まれたみたいにヘイオンニの顔が怖くなって、グッと顔を覗かれた。

『あんたどこまで良い子ちゃんな訳!?』

そう言われても意味も解らなくて、困っていたら、スプーンをグッと前に差し出されて、そのスプーンをデザートに出されていたプリンの中に差し込まれてしまった。

『良い!ファン・テギョンにとって、あんたってとーーーーっても甘いのよ!このプリンみたいなの!』
『フ・・・゚リン・・・ですかぁ・・・』
『そう!!このプリンみたいに甘くてそれにこの柔らかさ!口に入れるとふわぁっと溶けて広がるでしょ!』
『は・・・ぁ・・・』

何が、言いたいんだろうって思いながらヘイオンニの話を聞いて、スプーンに乗せられたぷるぷる揺れるプリンを見つめてたら、パクっと口に入れたヘイオンニが、少し苦いわねと言って、食べなさいとスプーンを向けるから、はいと言いながらとスプーンを口に入れた。

『女に触りたいってね!男なら誰でも思ってる事よ!ファン・テギョンだって例外じゃないわ!』
『それは・・・何となく・・・判りますけど・・・』

ヒョンとふたりでいると良くある事だけど、いつの間にか隣に座って肩を抱かれてたりとか、ソファで本を読んでたりすると後ろに無理やり入ってきたり、教会から帰ってくると決まって部屋に入った途端に抱き締めてきたりとか、寝てる時だって、何であんな風に見てるのかなって思う事もあって、時々、床に手を伸ばしてきて、握れって言うから手を握っているとそのまま眠ってしまう事もある。

『・・・だからね!』
『えっ、あっ、何ですか!?』
『ちょっと、聞いてなかったの!』
『ミアネ・・・・・・』
『ふん!まぁ、良いわ!ファン・テギョンも所詮男なんだから、いっそ、あんたから襲ってみたら!』
『えっ、えっ、えええーー、むっ、むっ、むむ・・・』
『ああ、もう解った、解った!ったく、何であんた達ってこうも違うのよっ!』

ぶつぶつ文句を言いながら、ヘイオンニは、プリンを平らげて、こうもって誰と比べてるんだろうって思ってたら、スプーンをお皿に置いて、そうだと手を併せゴソゴソと買い物をした袋から何かを捜して、小さなビニールに包まれた袋を取り出すとそれを開け始めた。

『ね、ね、これ!どう!?』

どうって、今日連れ回されたお店でも一杯聞かれたなぁと思いながら、ヘイオンニの取り出した物を見ると、それは、少し濃い目の黄色いランジェリーで、ヘイオンニが着たら似合うだろうなぁって思ってそのまま口にしたら、呆れた様な顔をされてしまった。

『あのね!これ!ミナムが、好きな色なの!知ってるでしょ!』
『えっ、えっと、ああ、そうでしたね』

怖い顔で睨まれてしまった。オンニが持ってるひまわりみたいな色をした黄色は、オッパが好きな色で、夏の太陽みたいなひまわりの花が好きなオッパは、その色も好きだったりする。

『これ着てミナムを襲おうと思ってる訳!』
『えっ、えっ、えええええええええええーーーー』
『ば・・・かね・・・大きな声を出さないでっ』
『おっ、襲、おそ・・・襲うって・・・えっ、えっ、おっ、おっ、オンニとオッパって・・・』
『あんたやっぱりお子ちゃまなのね!少なくともあんた達よりは、先に行ってるわね』

胸の前に下着を当てたオンニが、姿(しな)を作ってわたしに見せてくれて、そうなんだと思いながら、ヘイオンニが身体に当てている下着を見つめていたら、はいと別な袋を前に置かれた。

『何ですか!?』
『あんたの分よ!』
『えっ、わたし・・・』
『そうよ!あんたも必要でしょ!』

オンニと一緒にランジェリーショップに行って、結局何も買わずに出てきたわたしは、オンニに気に入ったのが無かったのかって聞かれ、それはもう、目移りするほど綺麗で着てみたいなぁとは思ってたけど、教会に通ってるだけのわたしにそんなの着ていく場所も無いから、またにしますって言っていた。

『えっ!?』
『良ーい!良く聞いときなさい!』

そう言ったヘイオンニは、下着を袋にしまって、テーブルに手をついてわたしの顔を覗き込んできた。

『あんた毎日、毎日、同じ生活ばかりしてるから、特に着飾っていく所も無くて、そんなもの必要ないとか思ってるでしょ!!それにシスターの時の癖で下着は白と勝手に思い込んでるでしょ!』
『えっ、はぁ・・・』
『一つ教えてあげるから!よーく覚えておきなさい!!良い、あんたA.N.Jellのファン・テギョンの恋人なのよ!!いい、こ・い・び・と!!!言ってる意味解る!?』
『・・・・・・』
『それにね!コ・ミナムの妹でもあるの!!』
『はぁ・・・・・・』
『あんたが、どこでどんな格好していてもそれは個人の自由だけど!あんた世間から見られてるって事をもう少し意識なさい!』
『えっ!!?』
『下着を見たいのがファン・テギョンだけだと思ってるなら大きな間違いって事よ!』
『えっ、えっ!?』
『あんたを見たいと思ってるオトコは実は一杯いるの!』
『ええっと、あの、良く解りません・・・・・』
『あんたね、あのコンサートの後、多分ファン・テギョンは、あんたに一切見せてないんだろうけど』

これと言ってオンニが見せてくれた携帯には、あの動画が映っていて、ヒョンに告白されたあのコンサートの様子とユジンssiのスキャンダル画像、そしてそこには物凄い数の書き込みがされている。

『なっ、何です・・・かこれ・・・』
『あんたのファンクラブ・・・・・・』
『へっ!?』
『あんたの私製ファンクラブよ!』
『えっ、えっ、ええええええー』
『ったく、あんた何気に人気者なのよ』
『しっ、しっ』

知りませんと言おうと思ったけど上手く言葉が出てこなくて、はいとオンニが差し出してくれたグラスの水を飲んで何とか落ち着くと、携帯をバッグに閉まったオンニが、やはり水をを飲んで、わたしを見ていた。

『知らなかったでしょ!』
『しっ、知りません!ヒョンは何にも・・・』
『まぁ、そうでしょうね!あいつには、面白くないだろうし』

でも、これと下着って何の関係があるんだろうとそんな事を考えていたら、オンニがまたわたしに近づいて来た。

『だからね!あんた早くあいつのモノになっちゃった方が良いわよ!!』
『ふぇ!?』
『あんたを狙ってる男って世の中に沢山いるの!書き込み見ても判るでしょ!まぁ、あんたはあいつが初恋だからそんな事も思わないだろうしそんな気もないだろうけど』
『そっ、それとこれとは何の関係も・・・』
『無いわよ!無いけど!ファン・テギョンにとっては、大問題よ!』
『ほぇ!?』
『ファン・テギョンは、一人の女も自由に出来ない!実はとっても情けない男!って記事!見たい!?』
『そっ、そんな事』
『見たいなら、すぐにでも見せてあげるわよ』

そう言いながらヘイオンニが携帯を取り出して、何かを検索すると、その画面を私に見せてくれて、でも、そこに登録されている名前に私は思わずヘイオンニの携帯を奪ってしまった。

『ちょ、何するの!返しなさいよ!』
『オッ、オンニこそ何をするのですか!!』
『別にファン・テギョンを救ってあげるだけよ』
『すっ、救ってないじゃないですか!!』
『救ってるわよ!少なくとも私、まだあなたの事嫌いだし!』
『わっ、わたしも嫌いです!!』
『そう、気が合うわね』

そう言いながらテーブルに肘を付いたオンニは、クスクス笑っていて、ヘイオンニの携帯を握り締めたまま、半分だけ背中を向けていたわたしは、それ以上何もしてこないユ・ヘイssiに呆気にとられてしまった。

『どうしたんですか!?』
『うーん・・・困った事にね・・・私、どうもあんたと仲良くなりたいみたいなのよね・・・』
『へ!?』
『うーん、ミナムと本気で付き合ってみようかと思ってるみたいなのよね~そうなると必然的にあんたが、ついてくるじゃない』
『えっ、本気じゃないんですか!?』
『そうね、今の所は良く解らないのよね』
『エッ、エッ、でも、さっき・・・』

襲うって言ってましたよねと聞こうと思ったら、ファン・テギョンとヒョンの名前が出てきて、ニヤっと笑ったユ・ヘイssiにいつか見た意地悪な顔が見えて、何故か心臓を掴まれた感じがした。

『あんたの正体をバラしなさい!って言ったの覚えてる!?』
『・・・・・・』
『あんた達の合宿所でわたし止めたわよね!・・・気持ち悪くなって』

オンニの言葉に凄く心臓が痛くなって、何を言いたいんだろうと考えていたら、オンニが笑って、ファン・テギョンと寝たのと言われた。

『うっ、うっ、嘘です!!』
『嘘じゃないわ!あの時、わたし来るべきものが、来なくてね!焦ってたのよ・・・』
『そっ、そんな事有り得ません!!』

有り得ない、有り得ない、だって、だって、あの時ってまだ、そんな、ヒョンとユ・ヘイssiが付き合ってまだ、何日も経ってなかったし、そっ、それにあれは嘘だってテギョンssiも言ってたし、そんな事絶対無い。

『絶対に無い!とか思ってる!?』
『なっ、無いです!!』
『あら、随分自信たっぷりに答えるわね』
『だって、だって、無いです!ヒョンは私を好きだったんです!!』
『本当にそうかしら』

本当ですって泣きそうな気持ちを抑えながら立ち上がりかけたら、テーブルに置いていた携帯が震えた。A.N.Jellの約束が流れてきて、この音は、テギョンssiの着信音を現している。浮きかけた腰を降ろす事も出来ず、テーブルに手を付いて、ジッとそれを見つめていたら、ヘイオンニの腕が伸びてきて携帯に出てしまった。

『ミニョならここにいるわ!そうよ!私と一緒よ!』

わたしの顔を見ながら話すオンニはとても楽しそうで、電話の向こうはきっとヒョンなんだけど、オンニの言葉に胸の痛いわたしは、オンニとヒョンが話をしているのをただ聞いているしか出来なくて、泣きたい気分になっているのを何とかこらえていた。

『そうよ!虐めてるわ!だったら何よ!』

オンニが言葉を紡ぎながらわたしを見ていた。きっとヒョンが、虐めてるのかと聞いたからだと思うけど、正に今、わたしはオンニに意地悪な事を言われていて、これが真実なのかどうかを考えていた。

『あんたが悪いんでしょ!ミニョになーんにも教えない方がもっと悪いわよ!!』
(お前に言われる筋合いはないっ!!)
『煩いわね!!女一人モノに出来ない男が粋がるんじゃないわよっ!!』

ヒョンの怒鳴る大きな声が電話から漏れ聞こえて、オンニの顔が更に楽しそうに変わると同時にVIPルームの扉が開いて、そこに息を切らせたテギョンssiが立っていた。

『どういうつもりだ!』

低い声でオンニを睨みつけるヒョンは、扉に携帯を押し付ける様にそこに立っていて、後ろを振り返ったオンニは、携帯を切るとそれをわたしの前に置いて、立ち上がった。

『どうって、別に女同士の友情を分かち合ってっただけよ』
『お前に友情なんて無いだろっ!!』
『それはどうかしら、私一応コ・ミナムと付き合ってるんだけど』
『ミナムが一方的に追いかけてるだけだろ』
『そうね・・・そういう事だったわね』

目の前で繰り広げられる会話に訳の解らないわたしは、さっきまでの心臓の痛みもどこかに消え、ふたりの会話の意味を理解しようと頭を悩ませていて、こちらを振り返ったオンニがまたねと手を振った事に思わず手を振り替えしていた。

『ったく、あの女何を考えてやがる』

チッと舌打をしてオンニの背中を見送ったヒョンは、クルッと振り返ると、驚いた顔をしていた。

『どうした!?』

泣かされたのかと両腕を掴まれて顔を覗き込まれ、ググッと近づいてくる顔に首を振っていると睨む様に細くなっていく眦で、更に顔を近づけてきた。

『じゃぁ、何でそんな顔してるんだ!?』
『え・・・あっ・・・なんでも・・・』

無いですと言おうと思ったら瞼が熱くなってきて今度は本当に涙が零れた。あれと目元に手を当てたら、ヒョンの手のひらが、頬を包み込んで、親指を目の下に当てられて、顔を上向かされた。

『何を言われたんだ!!』

ポロポロと零れる涙が、ヒョンの指を濡らして、首を振ろうと思うんだけど動かない首に何だか余計情けない気分になってきて、ヒョンの顔を見るのも辛くて視線を逸らそうと思ったら、唇を塞がれてしまった。

『えっ!?あ・・・・・・』
『黙ってろ・・・・・・』

ヒョンの唇がそう動いて、角度が変わる唇の隙間から舌がこちらに入り込んできた。なぞられる様に歯列を辿られ、背中に何とも言えない感覚が走って、肩を竦めていたら、ヒョンの腕が背中を優しく撫でてくれて、それに何だかとても安心をした。開いた唇で軽くヒョンの上唇を挟み込めば、驚いた様にヒョンの唇が僅かに離れまた重なってきた。今度はもっと深くて、唇を全て食べられてしまう様に重なる舌と唇にわたしの方が驚いていた。

『っふ・・・ぁん』

離れた唇に暫く頭がボーッとして、トンと背中を引かれてヒョンの胸に倒れこめば、頭に触れてくるヒョンの手のひらが、とっても心地よくて、ウエストの辺りでシャツを掴んでいた手をゆっくり背中に回してヒョンを抱きしめた。何だか自分の物って気がして凄く嬉しくなって、ふふっと笑ってしまったら、上から怖い声が落ちてきた。

『で、あいつに何を言われた!?』
『ふぇ!?』

低い声にちょっと驚いてヒョンを見上げれば、顔も怖い顔でこちらを見ていて、片目だけ細める眦が凄ーく嫌な予感をさせて、離れようと思ったら、やっぱり離してくれなかった。

『あああの、えっとですね・・・』
『もしかして聞いたのか!?』
『えっ!?』
『・・・・・・俺への・・・書き込み・・・とか・・・』
『!?!?何の・・・事・・・ですか!?』

離してくれないヒョンの胸を押しながら何とか顔を見上げれば、失敗したという表情で僅かに目元が引き攣っていて、すぐに否定をされたけど、聞いてしまった事を無かった事には出来なくて、ファン・テギョンssiとむくれれば、両目を閉じたヒョンが、すまないと言った。

『すまないって事は、嫌な書き込みがあるって事ですね』
『ああ・・・えっと・・・その・・・だな・・・』

ヒョンが口篭るからジーッと見つめていたら、また胸に引き寄せられてしまった。

『ったく、そんな目で見るなよ!!』
『ほ・・・んなへ・・・って・・・』

ヒョンのシャツに押し付けられて上手く喋れなくて、むーとむくれていたら、ヒョンが大きな溜息を吐いて、理由を説明してくれた。

『だから、お前だと思われてただろ!ユジンと一緒に撮られた動画も相手はお前で、コンサートの映像もどこから出たのか一緒に出回ってて、その・・・だな・・・俺には、可愛すぎて勿体無いとか・・・さっさっと別れろとか・・・ミナムのファンも書き込んでるからお前には・・・・・・・・・・・・・・・・って、お前、何を・・・笑ってるんだ!!!!』
『えっ、あっ、すみません』

頭を抑えられて、先程まで離してくれなかったヒョンから離されてしまった。恐る恐る上を見上げれば、ヒクッと思わず喉が鳴ってしまうほど、鋭く睨みつけてるヒョンと目があってしまった。

『わっ、悪気は全くないです!!』
『当たり前だ!!お前、嬉しいんだろっ!!』
『そっ、そんなつもりは・・・』
『いーや、お前がそんな顔してる時は、絶対的に喜んでる』

そんな顔と指摘されて思わず頬を包めば、ヒョンの顔がズズッと近づいてきて、背中を引きたいんだけど、腰に回ってる手は、変わらず離れてくれないし、一生懸命後ろへ下がってみたけど、ピクリとも動けなかった。

『にやけ過ぎだ!!』
『いっ、良いじゃないですか!わたしはヒョンみたいに人気がある訳じゃないですし!オッパみたいに芸能人でもないのですから!!』
『・・・芸能人並に人気があるからこんな話をしてるんだろッ!!下手したら俺達の個人ファンより多いかも知れないぞ!!』
『へっ!?』

見上げたヒョンの苦苦しい顔に何と無く事の重大性が認識できてきた。それは、つまり、わたしが芸能人みたいな扱いをされてるということで、コ・ミニョがコ・ミナムに戻ってしまったという事で、オッパの替わりをしていた時の様にサインを求められたりするって事かなと思ってヒョンを見上げれば、呆れた顔で頷いていた。その顔に目を見張ったわたしは、開いた口が塞がらなくなっていた。

『えっ、あっ、えっ』
『チッ!!どうせならもう少し俺の心配をしろよ!ったく!お前そういう所は全然進歩が無いな!本当に俺の事を愛してるのか!?』
『あっ、愛して・・・』

るに決まってるじゃないですかと言おうとして、口をついて出てきた言葉にヒョンの顔を見ていたら、途端に恥かしくなってきた。愛という言葉に反応したヒョンの表情は、ニヤニヤしながらこちらを見ていて顔が、あの満面の笑みを浮かべる為に口角が綺麗にあがり、瞳が、正に閉じられようとしていて、くるんと後ろを向いたわたしは、慌てて口に手を当て、深呼吸をしていた。

『コ・ミニョ!?どうした!?』

背中に掛けられた声にトゥグントゥグンと高鳴る心臓を何度も擦り、何でもないですと言ったけれど、ヒョンの腕が腰に回っていて、後ろから抱きしめられる格好になっていた。

テーブルに手をついたヒョンは、わたしの腰に触れながら、間にいるわたしの肩に顎を乗せ、テーブルに押し付ける様に腰を近づけてきて、囲われて動けない状況に左右を見れば、ヒョンの爪先がわたしの足の間から前に出てきて、突然、短すぎると言われた。

『えっ!?』
『お前・・・なんでこんな短いスカート履いてるんだ!?』
『エッ!?』
『男を誘う為か!?』
『ヘッ!?』
『それとも・・・襲われたいからこんな格好をしてるのか!?』

何を言われてるんだろうと考えながら、ヒョンの言葉をどこか遠くの出来事の様に聞いて、ゆっくり振り返った。首を傾けてヒョンの顔を見れば、こっちも露出しすぎだと二の腕を擦る様に半袖の上着を引っ張られ、肩越しに胸元を覗きこむ様に見られ、意地悪な事を言ってくる顔は、笑顔だけど、そんな事を言うヒョンにわたしの思考は止まっていた。

『これは!?』

止まってしまった頭でヒョンの顔をただ見つめていたら、先程オンニが、わたしの為にと置いていった袋をヒョンが引き寄せた。その行動を呆然とする頭で見つめ、前に回った両腕がその袋を開けるのを見ていた。

『!!!!?』

背中越しにヒョンが息を呑んで、出てきた下着を持ち上げたまま、後ろに立つ体が近づいてきた。

『・・・・・・お、まえが買ったのか!?』
『えっ!?あっ!?いえ・・・』

近づかれて、お腹がテーブルに当たって、何となく我に返った。ふとテーブルを見れば、ヒョンが袋から出した下着を横に伸ばしたり縦にしてみたりと弄っていて、小さいなと後ろから呟かれた言葉にギョとして、慌ててヒョンの手からそれを奪った。

『なっ・・・何を・・・』
『何するんだ』

抗議の言葉を口にしようと思ったら、ヒョンの声が不機嫌に被さってきて、腰に回った腕が、わたしの腰を引き寄せて、肩を包まれる様にもう片方の腕も身体に回された。

『お前の趣味じゃないだろ!?ユ・ヘイか!?』

そう聞かれて、膨れてコクンと頷けば、そうかと溜息混じりに返された。暫く、無言になったヒョンの前で、下着を袋に戻していたら、俺のはと耳元で言われた。

『!?・・・なんですか!?』
『お前の趣味は・・・白だろ・・・』
『!?』

何を言われてるんだろうと思いながら、ヒョンの腕を掴んで顔だけ振り返れば、ニヤッと笑っている顔と目があった。

『俺のって!?何ですか!?』
『俺の趣味でも・・・ないな・・・と思ってな・・・』
『ヒョンの趣味!?』
『ああ、このスカートも!この上着も!それから、その下着もだ!!』

ヒャッと足元を風が通り抜けたかと思うと、ヒョンがスカートを持ち上げ、お腹に回った手が上着を僅かにたくし上げ、肩を掴まれたかと思うとクルっと振り向かされて、目の前で袋をプラプラ揺らされた。

『なっ、何をするのです!!』
『・・・・・・昨夜の続き!?』

上目遣いで天井を見たヒョンは、片側だけ口元を上げて疑問形でそう言った。続き、続きと頭の中で反芻して、ハッと気がついたわたしは、両肩に腕を回して、ヒョンの顔を見た。

『何だよ・・・』
『つ・・・続き・・・って・・・』
『決まってるだろ!!昨夜の採寸の続きだ!!』
『なっ、何で・・・』
『何でじゃないだろ!!こんなものを貰いやがって!!お前の服は俺が選ぶって昨夜決めただろ!!』
『そっ、そんなことして頂かなくても・・・・・・』

結構ですという言葉は、音にならなかった。ギロっとこちらを見た瞳が余に黒く、光っていて、有無を言えない様な目つきで睨まれて、射竦められてしまった。また顔を近づけてきたヒョンに背中を逸らしながら、後ろに下がれば、テーブルが邪魔をしてそれ以上下がれなかった。トンと今度は、両手をテーブルに置いたヒョンは、ジーッとわたしを見つめると、暫くして、あの笑みを零した。

『コ・ミニョ!俺の事愛してるだろ!?俺もお前を愛してる!他の男に取られるくらいなら!お前が俺の物だと解りやすくしてやろうというだけだ!黙って俺について来い!!』
『もっ、物じゃ・・・』

反論しようとして、また睨まれた。昨夜もこんな事をふたりで言い合って、メジャーを持ち出してきたヒョンに身体の採寸をされ、あちこちペタペタ触れられ、着ていたジャージを捲られ、肌に直接触れては、胸の下にメジャーを回して小さいなとか言うヒョンにむくれて、結局、朝になっていた。わたしはオンニと約束をしていて、ヒョンは、仕事があったから、そのまま何となくうやむやで宿舎を出てきていた。

『行くぞ!』

そう言ったヒョンに腕を掴まれて、店を後にしたわたしは、ヒョンの着せたい服の趣味範囲にいつの間にか下着も含まれた事をほんの数十分後に知ったのだった。




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