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ファン・テギョンssiを前にすると、どうしてこう、いつも思う事があって、今もその感情を抱えながら、着替えている背中を見つめていた。
『・・・っい・・・聞いてるか!?』
『えっ!?あっ!?何ですか!?』
ボーッと考え込んでいたせいで掛けられた声も聞こえず、細くなった瞳にまた呆れた様な表情で睨まれてしまい、そんな顔をさせてしまう自分の事をいつまでも駄目だなと思いながら、ヘヘと笑ったら、近づいてきたテギョンssiの手のひらが、頬に触れ、視線を彷徨わせたら、頬を思いっきり抓られてしまった。
『痛っ・・・』
『痛みはあるのか!?』
『なっ、何をするのですっ!!』
痛む頬を擦りながら上を見上げれば、シャツの肌蹴た胸板が見え、思わず叫びそうになった口を押さえながら、慌てて顔を逸らした。ドキドキと早くなる心臓に体温も上がってきてる感じがして、いつも見てる筈なのに何がそんなに駄目なんだろうとベッドに手を付いて自問自答していたら、テギョンssiの口から大きな舌打の音が聞こえた。
『おい!コ・ミニョ!!言いたい事があるなら聞いてやるから!さっさと白状しろ!!』
低く呻る様な声が背中越しに聞こえ、恐る恐る振り返れば、案の定、腕を組んで、唇を尖らせ、爪先を上下に揺らしている怖い顔があって、その顔に思わず大きく首を振れば、眉間に皺を寄せた顔がググッと近づいてきた。
『だったら、何でそんな目で見てるんだよっ!!』
『えっ、いえ、見てたわけじゃ・・・』
『見てただろ!!穴でも開けそうな程、ジトッと俺の事見つめてただろ!!』
『なっ、べっ、別に見ても良いじゃないですか!!』
痛む頬をこれ見よがしに窄めて擦りながらテギョンssiの言い分を不満に思って見上げれば、また大きな舌打が聞こえて横を向いた顔が物凄い勢いでこちらを見たかと思うと更にググッと顔が近づいてきた。
『ほー・・・随分、生意気だな・・・俺に逆らうのか・・・』
『さっ・・・逆らう!?』
逆らうって何をと思いながら下を向いたら、伸びてきた腕が顎に触れ、顔を持ち上げられた。と、唇にフニっと柔らかい感触があたって驚いて上に向けていた瞳をゆっくり下に向けたら、わたしの唇とテギョンssiの唇が重なっていて、見開いた目が、ニヤッと笑う視線と交差した。おまけにフニャと当たっている唇が意地悪そうにムニムニ動き、こちらの唇を食む様に舌でなぞられ、テギョンssiの瞼が閉じていくのを至近距離で見つめていたら、パニックになりそうな頭に手を回され、そこを何とかフル回転させて離れ様と腕をあげた瞬間に、ガクンと身体が倒れてしまった。
『どうせ見るなら・・・色っぽい目つきで・・・誘ってみろよ・・・』
倒れた背中が、柔らかいベッドに呑み込まれて沈んだ瞬間にテギョンssiの唇が離れて、息が掛かる距離でそう呟かれ、えっと思う間もなく、首筋を軽い痛みが駆け抜けた。
『あっ・・・んやッ・・・』
『大人しくしてろ・・・』
テギョンssiの髪が顔を撫で、首筋に柔らかい感触と硬い感触があたって、歯があたっている事に思わず肩を竦ませたら、次にヌルっとした暖かいものがそこに触れた。
『わっ・・・ぁやぁ・・・』
『・・・・・・った』
思わず背中を叩いてしまって、テギョンssiの声にしまったと思ったけど、もう遅くて、両腕を万歳する様に頭の上に持ち上げられるとそこを軽々と片手で止められてしまった。
『・・・ったいなぁ、っくそ・・・何をするんだ・・・』
『オオオオオオオッパこそ!!ななななななな、何をするのですか・・・』
ベッドに押さえつけられた手首を何とか離れないかと動かしてみたけど、一向に外れない腕は、そんなに強く握られてる感じはしないのにビクともしなかった。
『お前が俺に勝てるわけがないだろ』
ニヤニヤ笑いながら、わたしの腕が動くのを面白そうに見ているテギョンssiは、クスクス笑いながらまた身体を傾けてきて、えっと驚く間もなく、胸にボスンと顔が落ちてきた。
『あっ、キャー』
『うーん・・・もう少し膨らんでると良いんだけどなぁ・・・』
『ヘッ!?』
暗に小さいと言われている胸の上で顔を動かすテギョンssiの髪が、ブラウスの隙間から肌に直接触れ、くすぐったさに思わず脚を引いて、身体を縮こませ様としたら、その脚を掴まれて何をするんだと聞かれてしまった。
『なっ、な・・・く、くすぐった・・・っは・・・はははは・・・』
『ほー、行儀の悪い脚かと思ったが・・・』
『なっ、何をっ!!オッパにそんな事しませんっ!!!』
抵抗するのかもしくは蹴るのかと言葉の裏にある意味を理解できたわたしは、テギョンssiの言葉にカッとなって、何とか下を見ながら表情を見ようとしたら、その顔がズズッと上にせり上がってきて、鼻がぶつかるほどの距離で目が合ってしまった。合ってしまった目を逸らせないままテギョンssiの真っ黒な瞳を見つめていたら、その目元が突然フッと緩んで、あの子供っぽい笑顔を間近で見る破目になってしまい、ドクンッと物凄い勢いで跳ねた心臓に思わず声が漏れてしまった。
『ふーん・・・随分、色っぽい声だな・・・誘い上手になったか』
『なっ・・・ちっ・・・ちが・・・』
否定しようと思うけれど、抑えられた腕は、全く動かなくて、ニヤニヤ笑うテギョンssiの笑顔は、凶器の様に心臓を締め上げ、身体中を電気が走って、全身が痺れている様な感覚がして、あっと思った時には全身が小さく跳ねてしまった。一度跳ねた身体が、沈んだ瞬間に小さく息を吐き出して、目を閉じていたら、上からきょとんとした声が降ってきた。
『・・・コ・・・ミ・・・ニョ・・・おッ前・・・』
テギョンssiの驚いた声と共に手首を掴んでいた手が僅かに緩み、解放されて頬を包まれた。
『・・・・・・今・・・感じただろ・・・』
『えっ!?』
『正直に答えろ・・・よ!・・・・・・・・』
頬を包んだテギョンssiの唇が耳元で、同じ言葉を繰り返して、同時に首を振ろうとしたわたしの腰の窪みを右手がなぞりあげた。
『えっ・・・あっ・・・ひぃやっぁん』
思わずテギョンssiの肩を掴んで、漏れた声に口を塞ごうと手を上げたら、一瞬早く柔らかい感触に息を奪われていた。
『ぁっ・・・ん・・・』
『ミニョ・・・』
『ふぁ・・・ッパ・・・ぁ』
『もっと・・・開けて・・・』
『ん・・・っ・・・』
上げた手をそのままテギョンssiの背中に回して、シャツを引っ張りながら、角度を変えては、深く入り込んでくるテギョンssiのキスを受け入れていた。気持ち好い。そう思いながら背中に回した手で大きな背中を撫で回して、自分とは違う大きく包み込んでくれる逞しい身体を確かめた。このままもっとして欲しいなとそう思いながら、テギョンssiのシャツを引っ張っていたら、離れた唇が頬を伝って、首筋から胸へ降りていった。
『ァ・・・ん・・・』
『ふ、感じたんだろ・・・』
胸の上で、膨らみを隠しているシャツのボタンを器用に外しているテギョンssiの髪に触れて、小さく頷けば、その振動にそうかと囁く様に笑みを交えて言いながら背中に回った手が、ランジェリーのホックを外していった。締め付けられていた下着から解放をされた身体が緩むのを感じたと同時に胸にヒヤリとした感覚が伝わり、その先端に小さな痛みにも似た刺激が走っていた。
『ふぁ・・・あ』
『ふふ、もう尖ってるな・・・』
『やぁ・・・ッん』
テギョンssiの唇がわたしの胸の先端を捉え、その口腔にそれを吸い込んでいて、立てられる歯の感触が、なんともいえない刺激を生み、また身体を反らし、竦めようとしたわたしの脚がテギョンssiの腰を締め付けるとそこを捉えたテギョンssiが、ベッドの淵に掛かるわたしの脚を押さえつけ、床に降りていった。
『・・・っ・・・ふ・・・ぁ・・・』
『ふふ、ミニョじっとしてろよ・・・』
『えっ!?・・・・・・・・・あ、ぁやぁん、ふ・・・ぁあオッパ・・・だ・・・っぁん・・・』
『ふ、動かない方が良い・・・』
『や・・・ッパ・・・ぁ・・・あああっ・・・』
『ああ、凄いな・・・なぁ・・・ミニョ・・・どうして欲しい!?』
『やっ・・・ね・・・っらな・・・』
『ふーん・・・知らないのか・・・じゃぁ・・・これ以上は、止めとくか・・・』
そう言ったテギョンssiがスッとわたしから離れていくと、背中を向けてまた着替えの続きを始めていた。そんな様子をベッドにグッタリしながら、もどかしく疼いている身体を抱きしめる様に丸まって見つめていたら、クルッとこちらを振り返ったテギョンssiの顔が、またベッドに近づいてきた。
『ミニョ・・・最後まで・・・したくないの!?』
子供っぽい笑顔で耳元でそう聞いてくるテギョンssiの悪戯な顔に頬を膨らませたまま首を振れば、どっちとクスク笑いながらまた聞かれた。だから、チラッと瞳を見あげて、片側だけ伸ばした腕を首に巻き付け、テギョンssiの素肌が露になっている胸に思いっきり噛み付いてみた。
『った・・・っくぅ・・・』
『オッパは!?どっちですか!?』
『どっちって・・・』
『オッパがしたくないなら良いです・・・このまま我慢します・・・』
『・・・・・・・・・お前は・・・したいのか!?』
『なっ、そっ、そんな事・・・だって・・・その・・・あの・・・だか・・・ら・・・・・・』
『ふふ、コ・ミニョ・・・サランヘ・・・』
涙目になっているわたしの眦にテギョンssiの唇が降りてきて、そっとそこの雫を掬いあげ、腰の下に手を入れて身体を抱き上げてくれた。位置を変えられたベッドの上で笑いながらキスを繰り返してくれるテギョンssiに意地悪ですと言ってみたけれど本当にそう思ってるわけも無く、そうかと頷いたテギョンssiの身体がわたしを啓いていった。
『お前が素直なら俺も素直に応えるけどな・・・』
『・・・んっ・・・ァ何を・・・』
『また似合わないとか考えてたんだろ・・・』
『えっ!?・・・ぁ・・・』
『明日も俺と一緒なんだから心配するな!お前の一番綺麗な表情を引き出してやるよ』
考えていた明日の撮影の事を言い当てられ、驚く間もなく、脚を開いたテギョンssiが侵入してきて、違う衝撃に声が漏れた。
『ふふ、熱くて・・・ぬるぬるだな・・・』
『・・・っいぁん・・・ふぁあああ』
『ん・・・良いよミニョそのまま・・・』
そのままって何と考える思考とは裏腹に蠢いたテギョンssiに反応をした身体は止め処がなくて、熱くなっていた身体にジリジリ侵入してくる感覚と流れ込んでくる吐息交じりの愛の囁きが完全に思考を止めさせた。
『ぁん・・・ッふ・・・ッパぁ・・・ん・・・サランヘ・・・ヨ・・・』
『ああ、俺も・・・すぐだから・・・一緒・・・サラン・・・ヘ・・・』
不安と期待を織り交ぜて、傍にいれば色んな感情を覚えてきた。それは、わたしが、知らなかった感情で、それをくれるテギョンssiを愛しく思い、けれど、自分の黒い感情に時々戸惑ってしまう。傍に居るのが自分ばかりではない事に時々、そう、時々だけど、黒い感情を抱える自分が嫌な子に思えていた。綺麗な人とか可愛い人とかテギョンssiの周りには沢山の人がいて、どうして、自分だったのかなって、わたしなんかって思う事は度々あるし、けれど、けれどこうして繋がる時間が、そんなものさえも消してくれていた。だから、わたしは、時々、ほんの時々、テギョンssiを見てると思う事があるけれど、それはきっと、この人が誰よりも大切だからだと思う事にしていて、だから、この黒い感情も実はとても大事なものなんだと考えていた。
『・・・ミニョ・・・・・・余ッ計な事を考えるなッ・・・お前だけ・・・愛してる・・・』
『ん・・・っは・・・ぁッパ・・・サラン・・・ヘ・・・』
星の瞬きも輝きも全てがわたしに注がれます様にとそう思いながらテギョンssiに抱かれる時間。わたしはこの瞬間が、実は、とても好きで、切なくひそやかにわたしにおりてくるテギョンssiのその笑顔と気だるそうな表情にとても満足を覚えているのだった。
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