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仁川の空港に降り立って、久しぶりの国の景色にどこかほっとしながら、帰ってきたんだなと早く休みたい、いや、お前に会いたいなと考えながら入国ゲートを潜り、長期の休暇に入る為遠くに出かける家族連れや恋人連れの交差する賑やかな声を遠くに押しやって、耳にイヤホンを差し込み、一人の世界に入ろうと瞳を閉じた。開いた時、歩く通路の先に見えたお前に俺の目は、釘付けだったのを知らないだろう。
『知っていたら、顔が溶けていたかも』
『ふ、今みたいにか』
『えっ!?溶けてますか』
『ああ、しまりのない顔だ』
突いた頬を赤く染めて、小さくムッとしたお前の顔が好きだよ。恍けた顔も好きだけど。でも、一番好きな顔をお前は知らないだろう。
『しまり・・・ないですかぁ・・・』
『ああ、無いな・・・特にこの辺・・・』
ぷっくり膨れた頬で俺を睨むけど、その頬が、緩やかに上がる瞬間。俺を見つけて駆け寄ってくるお前の顔。その嬉しそうな笑顔が、俺は一番好きで、悲しそうに歪んだ顔が、俺を見て笑顔に変わる瞬間の顔も好きなんだ。ふ、結局、お前が好きなんだよな。
『もっと、しまりの無い顔にしてやろうか』
『えっ!?あ、オッパ・・・』
『駄目か!?』
『・・・・・・駄目・・・じゃ無い・・・です』
開いた両腕で、俺を受け入れてくれるお前に、その腕の中に顔を埋めて、お前の背中に腕を回して、
俺がお前を抱いているのか、お前が俺を抱いてくれるのか。このどちらとも解らない触れあいの時(とき)に重なる唇にありったけの想いを込めて。
『ん・・・ぁは・・・っ・・・ふ・・・い』
『辛い!?』
『・・・・・・じょぶ・・・』
『辛かったら教えろ』
『・・・ん・・・っ』
揺らめく身体が、どちらのものか解らなくなるくらい、お前を啓いて、お前と繋がって、たゆたう時に身を任せ、お前の中に全てを注ぎ込んで。
『朝までこうしていよう』
『ん・・・・・・オッパの顔も緩んでます・・・ね』
『ん!?そうか・・・それは、仕方が無いな』
『ぁん・・・どう・・・して!?』
『ふふ、ミニョ・・・朝までこのままだ・・・もし離れたら、朝にはまた潜り込んでやる』
『えっ、あぁん・・・っ』
どうして、か。お前と同じ理由だな。でも、俺は、お前と違うから、お前の様に羞恥心で隠したりするつもりはないから、好きだと言った分だけ、お前と離れずに居たい。仁川の空港で、花を持って立ってたお前。俺を見つけた癖に。俺を待ってた癖に。背中を向けて、走り去っていったな。迎えに来たなら迎えに来たと堂々と俺に近づいてくればよいものを。離れて電話を掛けてきて、このホテルを押さえたのは、多分シヌかミナムだろうな。どちらかが、きっと空港まで送って来たんだろう。会いたいと思っているのは俺だけじゃなくて、お前も会いたいとそう思ってくれたんだろう。だから、なぁ、コ・ミニョ。お前の嬉しそうに緩む顔を俺の好きな顔を沢山沢山見せてくれ。朝まではまだきっと沢山の時間があるから。俺とお前のふたりの時間をこの独占欲を満たしてくれ。
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こんばんわ・・・えー、いつ書いたのかも不明・・・多分相当前のお話です。
草稿だけ残っていたのを肉つけて、でも、別なお話に作り変えた短編です。
最後までお読みいただいてありがとうございました(*^▽^*)