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Sakura, bloom!?

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階段脇、玄関から続く廊下で、柱を抱き占めているミニョは、何度目かの溜息を吐いて背中を向けた。
「もう、こんな時間・・・です・・・」
見上げた先の時計を膨らませた頬で睨んでいる。
「うー・・・こんな事なら一緒に行けば良かった・・・かも・・・」
零れる溜息と共に床に沈み込み膝を引き寄せた。
「お弁当、頑張って作ったのになぁ・・・」
ダイニングテーブルに置かれたバスケットを眺め膝頭に顔を埋めている。
「連絡くらい、くれても・・・」
手の中の携帯をカチャカチャと片手で操作しながら、ヒョンと書かれたアドレスを見つめた。
「今日はぁ何の日か覚えていますかぁ」
アドレスに添付しているテギョンの画像をスワイプしているミニョは、次々と変わっていく表情に悪態をつき、やがて笑顔を零して顔の真ん前で、携帯を見つめている。
「ふふ、この顔!好きです!あっ、こっちも好き!うーん・・・これはぁ・・・」
スワイプする指先が、テギョンの顔を滑り、表情の変わる画面に両足をバタバタさせた。
「きゃー、これは、この前の旅行の時ですねー、こっちはCM撮影の・・・」
満面の笑みを浮かべてリボンの巻かれた花束を手にしたテギョンに見入ったミニョは、頬を染め、顔を下げたが、肩の上で動かない手と視界に入った黒い布に首を傾げている。
「へーぇ、随分溜めたものだなぁ、一人でこんなものを見て・・・」
「ヒョ・・・ニム・・・お帰りなさ・・・い」
一瞬の隙に手からするりと携帯を取り上げられたミニョは、体制を崩し、テギョンは気にもしないで携帯を触り始めた。
「あん!?なんだ!?これは!?・・・これも・・・・・・これもだな」
「ヒョ・・・ヒョンニム・・・遅かったですね・・・」
テギョンの手の動きを崩れた体制を直しもせず、床から見あげたミニョは、大きな瞳を瞬いている。
「これも・・・これは・・・チッ・・・まぁ・・・良い、か・・・こっちは・・・あ・・・ん!?スター!?」
「ヒョン!?何しているのですか!?」
「ああ、これは良いか」
床に座り直して、片膝を立てたミニョの伸ばされた手に携帯を返したテギョンは、ネクタイを緩めて背中を向けた。
「遅くなった・・・撮影が少し長引いたんだ・・・連絡しなくて悪かった」
「あ・・・いえ・・・そ、れは・・・構わないですが・・・」
返ってきた携帯を不思議な表情で開いたミニョは、率直に謝ったテギョンに生返事を返しながら、アドレス帳を開いている。
「少し休んだら出かけるぞ!あいつらは、もう行ったんだろう」
「あ、は・・・はい・・・シヌヒョンの車で一緒に」
水を持ってダイニングテーブルの脇に立つテギョンは、座り込んだミニョの手元を横目で見下ろした。
「ふーん・・・あいつも飲まないつもりか」
「ヒョンは・・・飲まれるのですか!?」
「いや、俺も飲むつもりはない・・・自分の車だしな」
携帯を開いたミニョは、相変わらず生返事で、カチャカチャ弄っては、首を傾げている。
「その格好で行くつもりか!?」
「えっ!?あ、はい!そのつもり・・・です・・・けど・・・」
正座したミニョは、綿シャツにジーンズと傍らに置かれた薄手のコートを見下ろしてから顔をあげて頷いた。
「この間、買い取った服はどうした!?」
「えっ!?ああ、あれは・・・」
「あれに着替えて来い」
「えっ!?い・・・」
「さっさと行って来い」
有無を聞かず睨んで階段を指差したテギョンに肩を震わせたミニョは、そそくさと立ち上がって階段を駆け上がっている。
「いっ、行ってきます」
階段を昇りながら、焦った返事を返した。
「ふ、ん、俺の顔なら、本物を見れば良いのに」
ミニョが床に残した携帯を持ち上げたテギョンは、暗証番号をものともせず鍵を解除している。
「この表情が多いな・・・これが好きなのか!?ふーん・・・こっちも・・・」
スターと書かれたファイルを開けて写真を確認したテギョンは、自分の携帯を取り出した。



▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲



「あ、あのー、ヒョンニム・・・こっ、これで良いですか」
「ああ、上出来だ・・・」
数分後、打って変わった姿でテギョンの前に現れたミニョは、淡いベージュのワンピースにピンクのコートと同系色のバッグを持っている。
「バッグはいらないな・・・バスケットを持って行くんだろう」
「あっ、は、はい・・・お弁当・・・皆さんのとは別にしたので」
テギョンに近づくミニョに後ろに置かれたバスケットを見たテギョンは、寄りかかっていたテーブルから身を起こし、ミニョのバッグを受け取って、腕を伸ばした。
「ふ、そうか、ありがとう」
コートを持った手を握られたミニョは、テギョンの手にあるバスケットを見ている。
「花見に行かなくてもさくらは見れるんだけどなぁ」
玄関で靴を選ぶテギョンを待ちながら、バスケットの中から顔を出した携帯を持ち上げたミニョは、コートのポケットに仕舞っている。
「えっ!?そうなのですか!?ど・・・」
「でも、俺にしか見えないさくらだからな・・・あいつらの為に付き合ってやる」
自身の靴を履き、ミニョの為にピンクパールのパンプスを取り出したテギョンは、揃えて置いてミニョに手を伸ばした。
「ヒョンにしか見えない桜ですか!?」
「ああ、俺のとっておきのさくらだからな」
玄関を出たふたりは、肌寒さに震えたミニョの手にバスケットを渡したテギョンが、コートを奪って背中から着せている。
「そういえば、シヌヒョンもそんな事を言ってましたよね・・・」
「ああ、あいつがそんな事を言いだしたから、今日の花見だろう」
「・・・ヒョンにしか見えないさくら・・・・・・」
車の施錠を解除したテギョンは助手席のドアを開けミニョを促した。
「見たいのか!?」
「え・・・えっと・・・そっ、それは・・・ヒョンが嬉しいものなら・・・わたしも見・・・たい・・・です・・・」
車内に上半身を滑り込ませたミニョの手からバスケットを受け取り、乗り込むのを確認したテギョンは、ドアを閉め、反対側に回った。
「・・・星よりも見たい!?」
「へっ!?」
運転席に乗り込みミニョの膝にバスケットを置いたテギョンをミニョは不思議顔で見つめている。
「ああ、でも、星は俺か・・・なら、さくらはお前かな」
エンジンをかけたテギョンに瞳を回して不思議顔で考え込んでいるミニョは黙ったままで、ニヤリと笑ったテギョンが、ミニョのポケットを指差した。
「見たかったら見ても良いぞ!お前にも転送しておいた」
「へっ!?」
「俺の写真の入っているフォルダに入れて置いたから、いつでも見ていいぞ!けど」
けれど、決して人前で見るなよと言ったテギョンに携帯を開いたミニョが、車中にも関わらず、驚いて悲鳴を上げ、テギョンの車を止めたのは、ほんの数分後の出来事だった。






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あんにょん(^_-)-☆

掘り起し作品だから、いつ書いたかというと・・・数年前だなぁ(笑)
こちらへもリクエストをありがとうございます。
コメントもメッセも有難く読ませて頂いております(^^♪
拙すぎーる妄想吐き出し続けているみ・な・も・とであります(^^)/
本当にいつも感謝ありきたりだけどね(=⌒▽⌒=)
見えない想いを感じ取っていただけたりしてる事も嬉しく思っています。
今日も遊びに来てくれて最後まで読んで頂いてありがとう(^^)/




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やっぱり、これよね❦