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Moonbeams―(2)

 ★★★★★☆☆☆★★★★★★★★★★☆☆☆★★★★★★★★★★☆☆☆★★★★★ 

バスルームから出てきたら
お前
待ってましたとばかりに
俺を呼んだよな



「ここが、解らないです!教えてください!」



疲れた身体を温めて
そのままベッドで
疲れを癒そうと思ってた
俺の期待をまんまと裏切ったんだ




俺を呼んだくせに
俺の顔に
ぶ厚い台本を突きつけて
指を指して
本のせいでお前の顔は、見えなかったけど
アレは、失礼だろ!




「オッパだって、こーんな間近でジロジロ見たじゃありませんか!
あれの方が失礼ですよ!」



はは、まぁ、それは、あれだ!
コ・ミナムという奴を確かめに行ったんだ!




「確かめるだけなら、あんなに顔を近づけることないんじゃ・・・」




うっ、煩いな!
どんな奴か気になってたんだよ!
天使の歌声だぞ!
そんな奴がいると思えるか!?
社長は、凄く良いものを見つけたって顔してたけど
そんなに凄い奴ならなんで他でデビューしてなかったんだ!




「それは、オッパに聞いていただかないと・・・」




ふん!とにかく!コ・ミナムを確かめに
・・・じゃなくて
お前・・・・・・
わざとか!?




「えっ!?」




「話を摩り替えるな!」
「いえ、あの、だから、ここが解らないのです!」




指を指して、けど、台本を翳したまま
俺の顔を見ようとはしなくて
それが、聞く者の態度か!って言ったっけ




「・・・すみません」



それでも
お前
俺を頑なに見ようとしなかったよな




「なんだ!?」
「えっと、あの、だから・・・」




指揮者みたいに腕を動かしてるお前が
何を言いたいのかも
したいのかも全く解らなくて
暫くジッと見てたっけ・・・




「何がしたいんだ!!」
「明日の事を教えてほしいのです!」
「何処だ!?」
「だから、ここです!」




開いた台本の真ん中を掴んで
顔を隠すように俺に向けて
指だけ前に出して
その指もどこを指してるのか定まっていなくて
イラついてお前に怒鳴ったんだ




「何処だか解らないって言ってるだろっ!!」
「えっ・・・あっ、えっと」




俺の声に慌てたお前は俯いて
台本を見直してここですって
指を指して
やっと、俺を見たんだよな




「何処だ!?」




本を覗き込んでお前の指差す箇所を確かめて
そこを読み始めようとしたんだけど
動かないお前を変に思って視線を上げたら
口を開けて固まってたな




「どうした!?」




俺の声も聞こえてなくて
スッと身体を引いたら
お前の視線が、俺の下半身に釘付けになっていて
俺は下を見たんだ
・・・可笑しかったな




「!?」




お前
ハッとした様に俺の顔を見て
目を見開いてたな





「ちっ、違いますっ!!」




うわずった声で動揺して俺に背中を向けて
台本を握り締めてただろ





「あああ・・・の・・・オッパ、もっ、もう良いです」
「何が良いんだ!?」
「あっ、あの、教えて頂かなくても、だっ、大丈夫です」
「それは、無理だな!解らない事は、しっかり聞くべきだ!」
「いえ、あの、そうなのですが」
「解らないんだろ!?」





背中を向けてるお前の動揺の理由は
しっかり、理解してたさ
その顔が赤くなってるだろう事も
お前が
何を考えてたかもな
見せろとお前の肩越しに台本を取り上げて
俺が後ろを向いたのをチラッと見てただろ
俺がそれを直してたのも
お前、あからさまにホッとして
笑いを堪えるのに苦労したぞ




「ああ、これか、これは何もしなくていいぞ」
「へっ!?」
「トークは、ミナムとジェルミが、全部引き受けるからな!
お前は、黙って座ってればそれで大丈夫だ」
「シヌオッパは!?」
「シヌは、俺とこっちの体力係だな・・・・・・と商品がお前!?」
「えっと、はい・・・それで、どうしたら良いのかと
・・・許可して頂けますか!?」





仕事は、全部、俺が決めてたからな
アレは、俺のミスだった
チッ、思い出したくもないな





「オッパが、決めたんですよね・・・許可されてるの・・・ですよね」




背中越しに聞こえた声は
さっきの動揺は既に無くなって
戸惑いという感じに変わってた





「それは、オッパが・・・」




俺が
なんだ




「オッパが決めたのだから良いのですよね」




あれは、俺が負けるって決め付けてただろ
シヌと俺の対決なんて見てる奴にとっては面白いけど
お前が応援すべきは俺だろう
公表してないとはいえ
お前の恋人は俺なんだから




「お前はどっちの味方なんだ!?」




振り返った時、
お前
既に
それが直されてると思っていただろう




「えっ、わっ、こっちを見ないで下さい」
「どうして」
「キャッ」



また、俺に背中を向けて
頬を押さえてたな
どうしてだ




「どうって、それは、オッパが良く解ってるでしょ」
「解らないから聞いてるんだが」
「コッ、コヂンマレ!!」




俺のバスローブの紐が落ちてたんだよな
結ぼうと思って手を掛けてた時に
お前が俺を呼んだんだ
呼付けた癖に
それに気付いて
何も言わず
台本を翳してた
何を考えてた





「なっ、何も考えてません」
「嘘つきだな!俺と同じ事考えてただろ」
「同じ事!?」
「そうだ!俺はそのままベッドに行く気だった」
「・・・・・・・・・」



何を
考えたんだ




「だから、何も考えてません」
「そうか!?」



お前の横を通り抜けて
ベッドに座ったら
お前、また向こうを向いたよな
それが可笑しくて
結局
笑ったな
ベッドに座って足を組んで暫く
お前の背中を眺めてたけど
どうしたら良いのか判らなくなってるお前は
右を見たり左を見たり小動物みたいに動いてたな





「コ・ミニョ!!こっちに来い!!」




俺が少し強い口調で呼ぶと
ビクッとなった背中が丸くなって
そうっと後ろを向いて
俺がバスローブをきっちり
着てるのを確かめただろ




「何ですか!?」



嬉しそうに近寄ってきたよな
にこにこ笑って
俺の前に立ったお前の手を引いて
膝に乗せたら
また、すぐに真っ赤になったけど




「あの、オッパ」
「許可はしてやるさ!俺が受けた仕事だからな」
「そうですよね!ありがとうございます」




そうですねって、お前良くあのタイミングで言ったよな
ジロっと睨んだ俺に困っていただろ
どうやって膝から降りようかと考えていただろ
俺は降ろしてやる気はなかったけどな




「オッパ・・・」
「もう少し、このままでいさせろ」
「・・・・・・はい」




お前の胸に顔を埋めてると
疲れが何処かへ飛んでいく気がするんだ
俺の首に遠慮がちに回った腕に
キュッと力が入る感じが好きだな
お前の体温を身近に感じて、凄く安心するからな
母親の胎内ってこんな感じなのかな
そんな事を考えながら
俺は
お前を抱いたまま後ろに倒れたっけ



「オッパ、危ないですよ」
「大丈夫だ」
「でも・・・」



お前、倒れた反動で
俺に乗っかった事を気にしてたんだろ
いつもの事なのにな



「あっ、あの、離してください」
「どうして」
「えっと、その」
「まだ、駄目だ」
「オッパ」



俺の耳元で
困った様に呟いて、俺から離れようとして
観念したのは何故だ



「そっ、それは、オッパが・・・」
「俺が」



俺が、お前の着てるものを捲ったからか



「なっ、何をなさって・・・」
「煩いな、お前のおかげで、俺の貴重な癒しの時間が減ったんだ好きにさせろ」
「すっ、好きにって・・・」
「黙れ」




お前の頭を掴んでキスしたら
大人しくなったな
やっぱり、俺と同じ事
考えてただろ
あの時も、今夜も
お前は、美味しい商品だよな





明日はゆっくりできるからな
言いたいことがあるなら今のうちに言っとけよ
上手く摩り替えて逃げようとしてるんだろうけど
聞いてやるつもりはないからな
今夜は、しっかり覚悟しろ!



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はい!ごちそうさま!朝までコースっぽいな(///∇//)お付き合いありがとうございましたー!