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『どうする!?』
『どうするって・・・どっ、どうしたら良いのですか!?』
『んー・・・お前のしたい様にしてみるか』
『えっ、やっ、無っ、なっ、何も・・・・・・ナイ・・・デ、ス』
『・・・・・・そうなのか』
隣り合って座ったベッドの上で、オッパの胸に何となく凭れて、こんな事は、いつもの事で、肩を抱いて引き寄せてくれるオッパが、大きくて、暖かくて、幸せだなぁとホクホクしていたら、突然そんな事を言われた。私のしたい事といわれても、こんな状況で、ただこうしてるだけで、オッパのぬくもりを感じて、これだけで良いのに、何をするのだろうと頭を悩ませていたら、オッパの指が、顎を持ち上げて、顔を上げたら、子供みたいに優しい顔で笑うオッパじゃなくて、少し怖い顔のオッパと目があっていた。
『なっ、何です・・・か・・・・・・』
『お前・・・・・・』
オッパの肩に回していた腕が、自然と下に落ちて、僅かに向きを変えたオッパの胸元を掴みながら、何だろうと緊張を感じて、震える声で返事をしてしまって、あっと思ったら、クスッと笑われていた。
『なっ、何で笑うのですか!!』
『いや・・・お前・・・こうしてるの好きか!?』
『えっ!?』
こうって、と思いながら、考えようとした頭をまたオッパに引き寄せられ、オッパの胸の中に顔を埋めるみたいな格好になっていた。
『あっ・・・』
『ふふ、こういうの好きか!?』
『えっ、あっ、あの、そ・・・え、えっと・・・・・・すっ、好き・・・デス』
『どうして!?』
どうしてと訊ねてくるオッパにどうしてと頭の中で反芻を繰り返し、どうしてと、頭を捻れば、それは、やっぱり、オッパの傍に居られる事が幸せだからかなぁと思って、トクン、トクンと聞こえるオッパの規則正しい胸の音を聞きながら、ああ、この音をより近くで聞ける事だったり、オッパの声や息遣いや、オッパの匂いとか、オッパの大きな手とか、身体とか、カラダ、とか、とか、とか、と思っていたら、何だか急にぼーっと暑くなってきた。
『やっ、えっ、えっと・・・あっ、暑いですね・・・』
『ぁん・・・暑い!?か』
『あっ、えっ、えっと、ちっ、違いますっ、あ、暑くなってきました!!!』
『暑い!?丁度良いくらいだろう』
部屋を見回したオッパの手が、少し緩んだ隙に離れなくちゃと思って、さりげなく、本当にさりげなく動いたつもりが、気がついたら、ふわっと浮かんだ感じがして柔らかい感触が背中に当たって、ククと楽しそうに笑っているオッパの顔が目の前にあった。
『お、オオオオッパ!?』
『何だ!?』
『なっ、なっ、なっ、何をされるのですかぁっ・・・』
『何って・・・俺にくっ付いてるの好きなんだろう』
『すすすすす、す、好きですけど・・・えっ、えっ、ええええっと、こっ、こっ、これは・・・・・・ぁ・・・ん』
オッパの重い身体をブラウス一枚の胸の上に乗せられて、おまけにオッパは、シャワーを浴びると言って、バスローブを着ているだけの格好で、その胸に顔を埋めていたとはいえ、今のこの状況は、決して、望んでいたものでは無くて、それからと、頭を悩ませているとオッパが更に笑って、耳に息が掛かり、あっと思う間にオッパと唇が重なっていた。重なった唇のその感触に思わず驚いていると、オッパと目があっていて、ジッーと目を開けたまま、重ねられる唇に少しだけ角度の変わる唇に背中をゾクゾクとした感覚が走って、目を閉じる事も、視線を動かす事も出来なくて、ジッと見つめ返していたら、フワッと緩んだオッパの目が、視線を下げて何かを訴えて、何だろうなと思って一緒に視線を動かしたら、オッパの舌が、唇を突いていた。口を開けろということなんだろうなぁと思いながら、ほんの少しだけ唇を動かして、でも、凄く恥かしいと思い直して、キュッと結んだら、ガジッとその唇にオッパの歯が当たって、わっと驚いた瞬間、開いた唇にあっさり侵入されてしまっていた。
『んぅ・・・っ、ふ』
鼻からしか抜けない息に少し苦しさを覚えて、段々と視界が薄暗くなってゆくのを感じながら、オッパのバスローブの袖を掴んだ。掴んだ指に思う様に力が入らなくて、重なっている唇に舌に、オッパから零れてくる熱と息と、頭はどんどんくらくらしてきて、何も考えられなくなっていて、ぼんやりする頭で、オッパの動く手を感じて、熱くなった身体にボーッとしていた思考が、すっきりクリアになったのは、次の瞬間で、スルッと動いたオッパの手が、私の腕を辿って、手のひらを滑った指が、まるで電気でも走らせる様にピリピリした感覚を伝え、そのままオッパの指が、私の指の隙間に入り込むとその感覚がビリッと大きくなった。
『・・・っ・・・どうした!?』
あまりの衝撃に驚いて、オッパと絡んだ指先を強く握り返し、目からポロッと零れた涙にあれと思いながら、動けないでいたら、オ上半身を起こしたオッパが、心配そうに顔を歪めていて、握りこんでいた手にオッパの指先が、たたまれる様に触れた瞬間、また電気が走って、ぁと小さな声が、漏れてしまった。
『おい・・・コ・ミニョ・・・大丈夫か・・・』
繋がっている手と反対のその手で髪に触れたオッパにコクコクと頷きながら、何と思って、何だか良く判らない感覚に、オッパの顔をジーッと見ていたら、心配そうにでも考え込む様に唇を突き出していたオッパの顔が、私をジッと見つめ返して、ニヤッとした嫌な笑いを浮かべて、ドキンと跳ねた心臓が、ズクズクと痛くなってくると、ポスンと私の顔の横に伏せてきたオッパが、クスクスと肩を震わせて笑っている。
『えっ、ちょ、オッパ・・・な、なんですか!?』
クスクス笑って、私に全体重を乗せてくるオッパに気持ちよいけど、重たいなぁと思って、その身体を押し退けようとしたけど、私の力じゃオッパの身体は動くわけも無くて、その背中に腕を伸ばしたら、また電気が走っていた。
『あ・・・ん・・・』
『ふふ、甘い音だな、コ・ミニョ・・・』
『えっ!?』
『甘くて、そそられる音だ・・・』
『そそる!?』
そそるって何と思いながら、オッパに重いと言ってみたけど、避ける気のないらしいオッパに益々体重を掛けられて、もういいやと思いながら、繋がっている指先を見たら、オッパの指も動いていて、手と手を合わせるように重なった手のひらをやがて、オッパの指に握りこまれた。
『感、じ、た・・・んだろう』
『えっ!?』
『お前・・・俺とこうして手を繋いだだけなのに・・・』
『!?』
またオッパの手が、指が絡んで、さっき感じたのと同じ様に電気が走り、ピリピリする感覚にオッパの言った言葉を思い返して、えええっと思っていたら、ふわっと胸が軽くなっていった。あれと思いながら、オッパの手から視線を外せば、ククッと笑っているオッパが、上半身を持ち上げて、空いた手が、胸をスッポリ包んでいた。
『こっちの方が、正直かな』
『えっ、ぁ・・・んぅっ』
柔らかく包まれたオッパの手のひらに押される胸に指先に感じたのと同じ様な電気が走って、けれどこっちの方が、強烈で、ピクンと跳ねてしまった身体に驚いていたら、またポスンとオッパの身体が落ちてきた。けれど、落ちたのが、胸の上で、そこでクスクス笑っているオッパの顔に胸を押されながら、さっきよりももっと、ずっと、暑くなっていく身体に思わず固まってしまったら、動いていたオッパの頭がまた上にあがって、唇に軽くキスが落ちてきて、全身が、軽くなった。
『ふ、起きろ、ミニョ・・・』
『えっ、あっ、はい・・・・・・』
ベッドから立ち上がったオッパに腕を引かれて起き上がれば、バスローブを脱いでいるオッパの背中が視界に入って、まだ熱い自分の身体に見ちゃダメと言い聞かせながら、頬に手を当てていたら、その手をオッパに掴まれていた。
『なっ、何・・・ですか』
『いや、俺、シャワーを浴びるつもりだったんだ』
『そ・・・うですね』
『お前、特にしたい事も無いんだろう』
『えっ!?』
そういえば最初にそんな事を聞かれたなぁと思いながら、コクンと頷けば、そうかと言ったオッパが、
じゃぁ、俺のしたい事をしようと言った。
『オッパのしたい事・・・です・・・か』
『ああ、一緒に来い』
一緒にって、どこにと上半身、裸のオッパに腕を引かれ、バスルームに続く扉を潜れば、ああと思い出した様に部屋に戻ったオッパが、明かりを消しに戻って、暗くなった部屋と明るいバスルームの境に立ったままの私を後ろから抱き締めて、バスルームに入れと言うと、入り口を背中にして立ったまま、信じられない事を言った。
『指先だけであんな音を出すなら、他はどんな音を奏でてくれるのか、是非、聞きたくなった』
『えっ!?』
『俺の指だけで、感じるお前にそそられたと言ったんだよ』
『はっ!?』
『ふ、まずは、シャワーを浴びて、それからの楽しみだなコ・ミニョ』
ニヤリと笑った顔にあっと言う間に服を取られてしまったわたしは、逃げ場の無いバスルームで、しゃがみ込むしかないある日の夜更けの出来事だった。
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