いつだったか、ヒョンが、凄く怖い顔でミニョを連れて部屋に入って行った事があった。上じゃなくて下。何でと思いながら、ふたりのヒョンを見ていたんだ。
『なぁ、ミナム・・・どう思う!?』
『どうって・・・何だよ』
『だって、シヌひょん・・・』
『何か用事があるだけだろう、変な勘繰りは、よせよ』
『そういうのじゃ無いよ』
そう、そんな事を考えていた訳じゃない。ただ、ここの所ミニョが、元気が無い事が多くて、テギョンヒョンが、あんまり家に居ないせいだろうけど、それに、ミナムのとこだって、ヘイssiが遊びに来てることが多くて、あんまりミナムの部屋にも居ないみたいなんだよな、ヒョンの部屋に居るんだろうけど、実際ミニョを呼びに行くと、シヌヒョンと一緒にテラスに居るところに良く出くわすんだ。何かあるとかそういう事を思っている訳じゃなくて、ただ、ただ、何となく、何で俺じゃないのかなと思うだけなんだよ。
『テギョンヒョンは!?』
『ああ、多分部屋に居る・・・さっき、水摂りに来てたから』
『ふーん』
上に居るんだと思いながら、キッチンから見える地下への階段を見ていたら、ミニョが、泣いていた。エッと思って、泣いてるというか、顔を擦っただけだったのかも知れないけど、泣いてる様に見えたミニョを確認しようと思ったら、いつの間にかそこには居なくなってて、シヌひょんの所に行くのも用事がある訳じゃないしと考えていたら、ミナムにコツンと後頭部を叩かれた。
『おい!ジェルミ!お前・・・今、変な事を考えてるだろう』
『変な事!?』
『ああ、無い頭で考えたって善い事は、浮かばないんだぞ!考えるな!!』
考えるなって、言いたいことを言って二階に向かって行ったミナムの背中を見つめながら、何だろうと思っていた。無い頭って、俺の事、だよな。善い事って、悪い事が在るって事かな。そんな事を考えながら、また下を覗いていたら、ミニョが、階段を昇って来ていた。
『あれ、ミニョ、シヌひょんは!?』
『えっ!?ああ、ジェルミ・・・ひょんなら・・・お部屋です』
『そうなの!?さっき怖い顔していなかった!?』
『えっ!?そう、ですか・・・いつもと同じで・・・したよ』
『ふーん・・・そっか・・・俺の見間違いかな・・・』
『・・・ええ、きっと・・・』
にこりと笑ったミニョが、キッチンで、冷蔵庫を開けてテギョンヒョンの水のボトルを取り出していた。じゃぁと俺に声を掛けて二階に上がって行った。いつもと変わらない光景。違うのは、シヌひょんの怖い顔。見間違いだったのかなとそう思いながら、俺も自分の部屋に戻ったんだ。
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『だからさ、あの時にはもう・・・』
『だからって、何で止めなかったのさ』
『止めて、ミニョが聞くと思うか!?』
『・・・・・・・・・・』
『ジェルミには、悪いと思ってるよ、でも、ミニョの気持ちがね、一番大事だ』
『そ・・・んなの俺だって・・・』
俺だってそうだよとそう思っていた。でも、言えなかった。テギョンヒョンが、ミニョに何をしたのか知らないけれど、テギョンヒョンは大丈夫なのかなと考えて、敗れた恋への未練は薄くなっていたけど、ふたりにはずっと一緒に居て欲しいと思っていたんだ。
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