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「今日は黙ったままなのですか!?」
・・・・・・・・・
何だよ
突然・・・
「いえ、いつもお話してくださるので・・・」
俺の囁きがないと眠れなくなったのか!?
「えっ!?そういう訳では・・・」
ふっ、そうだよな
俺と一緒でも平然と眠ってしまうんだから
お前には羞恥心ってものが欠落してるのかもな
「なっ、どういう意味ですか!」
痛いな
叩くなよ
判った!
判ったから・・・
そうだな・・・
お前は何をしていたんだ!?
「わたしですか!?」
ああ
・・・そういえば
ここに戻ってから
どこかに行ったのか!?
「あっ、いえ、院長様にもお電話だけで・・・」
・・・・・・そうか
行きたいか
いや、行きたいよな
「あ、大丈夫です!オッパが次のお休みに連れて行ってくださると」
ミナムが!?
「ええ、ついでにお父さんの所にも行ってきます」
・・・墓参りか
「そうです!オッパと2人ではまだ行ってないので」
・・・そうか
「オッパ!?」
いや、何でもない・・・
「そんな顔をなさらないで下さい」
そんな顔!?
「・・・・・・悲しい顔です」
してないだろう!?
・・・
してるのか!?
というか、お前の方が泣きそうだぞ
「あっ、えっと、わたしは大丈夫です」
何が大丈夫なんだ!?
「オッパがこうして手を繋いでいてくれるから」
ああ
これか・・・
・・・・・・どうしてかな
お前の手を握っていないとどこかに行ってしまいそうで
不安になるんだよな
アフリカに行って来いって言った時は何とも無かったのに
「わたしはオッパの手を握っていられる事がとても嬉しいですけど」
不安なのは
あの人のせいだろうな
「不安ですか・・・ファランshiですか」
ああ、
空港にいただろう
気付いてたか
「オッパも気付いてたんですね」
ああ
あの騒ぎの中パリに向かう飛行機に乗って行った
「わたしと入れ違いに!?」
ああ
お前を迎えに行った時
空港で会ったんだ
あいつらに見つかる訳にいかなかったから
黙って挨拶だけしたけど
あの後
秘書から連絡があった
「何か・・・あったのですか!?」
何か
という訳じゃないんだ
あの人
まだアルコールを辞められないらしいな
「・・・前にもそれで倒れられたとか」
ああ、お前のおばさんが見つけたらしい
その時も実はかなり危険だったらしいんだけど
「・・・・・・危険・・・なのですか!?」
いや、そこまでじゃないと思う
ただ・・・
「オッパ!」
なんだよっ
でかい声を出すなといつも言ってるだろ
「行ってください!」
何だよ・・・
怖い顔だな
「何かあったのなら言ってください」
・・・・・・
「オッパのたった一人のお母様です」
ああ、解ってる
・・・行こうとは思うんだ
こんな俺でも
あの人は
離れたくないと言った
お前が縋れと言ったからかもしれないけど
俺があの人を求めていたことに
あの人はどこか安心してたんだろうな
俺だけは離れないと思っていたと
あの焦がれていた美しい顔が
いつの間にかやつれていたんだなと
・・・だから
パリに行こうと思ってるんだ
「そうですか・・・」
お前もな
「えっ!?」
お前も一緒に来いよ!
どうせやることも無くて暇だろ!
「どういう意味ですか!?」
ボランティアの続きだと思えばいいだろ
再来週発つから
お前の分のチケットも手配済みだしな
「・・・・・・オッパ」
なんだ
「もしかして、それを考えていたのですか!?」
ああ
お前も行くのに
予定がわからないと計画も立てられないだろ
「わたしが行くって決定してませんでしたよね」
一緒に行くに決まってるだろ
俺に一人で行けというのか
お前は俺から離れたいのか
「そういうことではなくて、オッパ、仕事は」
調整済みに決まってるだろ
オファーは全て片付いてる
後は
俺のオファーを受けてもらうだけだからな
行くだろ一緒に
「断ってもいいのですか!?」
断ったら、これから一週間ほど眠れなくなるぞ
「・・・・・・・・・・」
断らなくても今夜も遅くなるだろうけどな
(///∇//)