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一時、シヌとジェルミとお茶と会話を楽しみ、パーティをしようというジェルミを振り切って、ミナムと2階へあがったミニョは、テギョンの部屋の扉を見ながら、寂しそうな顔をした。
それを横目で見たまま荷物を持って部屋に入ったミナムは、しまったと大きな声を出し、驚くミニョに用事を言いつけた。
『どうしたんですかぁ』
『あー、明日の台本!ヒョンに預けたまんまだ!どうしよう、俺、コント演るのにぃ・・・』
棒読みの台詞に見え見えな嘘であったが、首を傾げるミニョには通用する。
それを見抜いているミナムは、こう続けた。
『あー、ミニョ、悪いけどヒョンのとこ行って、本、貰って来てくれっ!あー、何で俺が行かないとか聞くなよなっ!ヒョンのとこ行くと俺ってば、絶対、お小言くらうから行きたくないんだっ!』
『えっ・・・そんなの・・・』
『ほらっ、早く行って来いっ』
ミナムの意図を考える間も反論する間も無く、部屋を押し出されるミニョは、向かいの部屋の前に立たされ、開いたままのミナムの部屋を見つめている。
『なっ、もうっ!オッパってば、自分勝手なっ!わたしだって疲れているのにぃ・・・』
横になりたいと思っていたミニョの気持ちは、ミナムに綺麗に誤解されていて、テギョンの部屋をノックするミニョは、それでも体裁を気にして、ポケットから小さな鏡を取り出し笑顔を作っていた。
『だっ、大丈夫かな・・・』
1度目のノックに反応は無い。
2度目のノックをしようと拳を振り上げたミニョだったが、ノブに手を掛けゆっくり回していた。
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『ヒョ・・・オッパー・・・』
テギョンの返事は無く、そうっと扉を開けたミニョは、チョコンと部屋に入れた頭で左右を見回した。
窓からの風がミニョの髪を撫で、主の見当たらない部屋の机の譜面を撫で上げていた。
『オッパぁ・・・いないのですかぁ・・・』
パタンとドアを閉めたミニョは、暫くそこに立ち止まっていたが、ソファに座るテジトッキを見つけて駆け寄るとただいまと抱きしめた。
『あれ!?』
頬ずりしようと持ち上げたテジトッキに掛けられたネックレスの数が増えている。
『見たこと無いものです・・・』
それでもあまり長く気にしないミニョは、テジトッキを抱いて振り返り、バスルームを見つめた。
『シャワーですか!?』
誰へともなく呟いてまっすぐそこへ向かって行くミニョは、扉に手をかけたのだった。