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相聞歌────ヒルドケヨドキ(4)────

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それは、朝が来る度思う事だ。

愛しい。

愛しいとは、何だ。

淋しいに似ている。

愛しくて淋しくて。

肌の温もりは、とても心地よい。

けれど、昨夜の余韻を残したまま、見下ろす顔に淋しさを感じる。

触れて、撫でて、愛してると思う気持ちの端で淋しいと感じる。

「お前なんて産まなければ良かった」

そう言った女は、淋しさを通り越し、むしろ痛かった。

その女も愛していた。

いや、今も愛している。

あの人をあの人を母と呼ぶ毎に凍っていく心をいつの間にか痛いとも思わなくなった。

愛しい。

愛している。

離れないで。

離さないで。

小さな手を顔を俺を掴まえていて。

『・・・オッパ!?』

『ん!?』

『何をしているのですか!?』

『ん・・・ああ・・・お前の寝顔を見てた』

『む・・・ずるい・・・』

『あ!?』

『オッパばっかり、わたしの顔見てずるいです!』

『はぁ!?どういう意味だよ・・・早く起きたんだから仕方が無いだろう!?』

『むむ、わたしもオッパの顔を見ますっ!』

『えっ!?あっ・・・おいっ』

『目を閉じてくださいっ』

『ったく、何なんだよ・・・』

降りて来たキスに時間も思考も止まった。

胸に落ちた頭が、その重さがとても心地よくて。

『オッパ・・・愛してますよ』

俺をぎゅっと抱きしめる腕に愛しさは募り、淋しさはあっという間に消えていった。