注目の投稿

限定公開中 

Far away, to you, I want to say(お家に帰ろう)!?(8)

 ★★★★★☆☆☆★★★★★★★★★★☆☆☆★★★★★★★★★★☆☆☆★★★★★

『ミーニョー・・・まーた行っちゃうのー』
まるで、今生の別れでもある様な暗い顔をしてミニョを見ているジェルミは、突っ伏した頭で近づいていた。
『オッパの慰安旅行だって仰ってました』
『えー、それなら、ヒョンひとりで行けば良いのにー』
ジェルミの不満に上向いた顔をちらりと見るミニョは、一緒に行きたいのは自分なんだけどと胸に秘め、シヌを見ている。
『ひょん達は、お仕事なのですか!?』
『ん・・・ああ、いや・・・俺達も一応休みだけど・・・テギョンみたいに長期は、取れないからね・・・仕事もしながら休みもって感じかな』
『ふぅん』
然して興味はなさそうなミニョの返事にシヌが苦笑いを浮かべた。
『ミニョだって、帰って来たばかりで、パーティに出席させられてただろう』
『あ、はい・・・でも楽しかったので・・・』
恥ずかしそうに俯いたミニョにシヌの手が伸びている。
『どれが仕事って聞かれると困るんだけどね!俺達の職業って』
頬にくっついたご飯粒を口にしたシヌは、あげた顔で薄い笑みを作った。
『どこに行くのか教えてくれないんですよねー』
『もう一度聞いてみたら良い』
静かに通り抜けたテギョンにミニョが驚いた顔をした。
『あっ、ヒョンニムおはようござ・・・』
睨みつけるテギョンにシュンとしたミニョがオッパと言い直した。
『どこに行くかは俺達も興味あるけど教えてくれないならマ・室長にでも聞けば良いよ』
ハッとしたミニョの顔にシヌを通り越した視線が突き刺さり、俯いたミニョは、カチャカチャお茶碗を鳴らして食事の続きを始めている。
『で、どこに行くんだ!?』
冷蔵庫の前で水を飲んでいるテギョンにティースプーンを置いたシヌが、聞いた。
『・・・・・・南の島・・・』
ムスッとありきたりな返事をしたテギョンがシヌを見つめ返す間にパッと顔をあげたミニョとガバッと起き上ったジェルミが、眉間を寄せている。
『えー、ヒョンってば芸無さすぎー!もうすこしロマンチックなこと言えないのー』
例えばさと指を重ねて振り返ったジェルミの話を聞きながら眉間を寄せるテギョンにシヌは、ミニョの隣に座ってお茶を勧めている。
『莫迦かお前・・・ロマンチックなんてどこでもしようと思えば出来る・・・』
身振り手振りを加えて講義しているジェルミを見ていたテギョンは、呆れ顔で、ポットを手に取った。
『んー、もうっ!ヒョンってば夢無さすぎっ!折角女の子と旅行に行くならさー・・・・・・』
言いかけて向きを変えたジェルミは、並んで座るミニョとシヌを見つめるテギョンを見て黙り込んでしまった。
『ミ、ミニョもそう思わない!?』
椅子に座り直したジェルミは、両手を併せてごちそうさまと言ったミニョの横で食事を再開した。
『えっ!?ん・・・ん、そうですねー、行ってみたいところもありますけど・・・ロマンチックなら事務所の前の並木道が今とっても綺麗ですよー!誰もいない朝ならとってもロマンチックです!』
テギョンの意図を汲んだ様な恍けた回答と親指を立てて見せるミニョに食事を続けながら、頷いたジェルミは、前を気にしつつ涼しい顔のシヌを見てご飯をかき込んでいた。

★★★★★☆☆☆★★★★★

『なんの真似ですか!?これ!』
ファランを前にしたミナムは、雑誌を捲ってページを見せつけていた。
『貴方が書かせた記事ですよね』
確認ではなく、確信を持っていると強気なミナムにファランも堂々としていた。
『アボジだけじゃ飽き足らず、オモニも巻き込むんですか!?』
『そういうつもりは無いわ』
『そういうつもりが無くてもこれは立派な中傷だと俺は思います』
『スジンの名前は出していないわ』
『名前が出ていないから良いというのは、貴方の身勝手でしょう』
怒りを抑えようと拳を握り直すミナムの手を見つめていたファランが大きな溜息を吐いた。
『昔の事よ・・・それにわたしはテギョンに幸せになって貰いたいだけだわ』
『はっ!それが一番の身勝手だなっ!子供を捨てた癖に今更何を言ってやがるっ!』
吐き捨てるミナムの前で静かにティーカップを持ち上げたファランは、口を潤して開いた。
『母親なんていうのは身勝手なものよ・・・お腹を傷めて産んで・・・思い通りにならなければ辛く当たる・・・』
『ふっんっ!そんなのはあんたくらいなもんだっ!』
ドカリと背もたれに寄りかかるミナムは、怒りを全身に溢れさせ、冷静にひとつひとつを受け流すファランに更に苛立っていた。
『テギョンには幸せになって貰いたいわ・・・』
お茶を飲み、口を開いたファランの予想だにしない話に驚愕したミナムだった。