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『じゃぁ、シスター気を付けて!!くれぐれも気を付けてくださいねっ!』
荷物を下ろして、手を握って、うるうる涙目を向けるマ・室長にぎょっとしたミニョは、背中を引いて、怯え気味に頷いていた。
『おいっ、テギョン!しっかりシスターを守るんだぞっ』
にやにや見上げるテギョンの睨み返し等なんのそのスキップしそうな雰囲気で、マ・室長は、チケットを取り出した。
『ビジネスじゃなくてちゃーんとファーストを抑えたからな!帰りも同じだ』
経費が嵩んだと文句を言い始めたマ・室長を見下ろしたテギョンが、訝しい顔をした。
『なっ・・・なんだよ・・・』
『いや・・・プライベートだと社長には言ったぞ・・・』
『あ・・・』
顔を顰めてまずい顔をしたマ・室長は失言に気付き、テギョンは、ミニョと見合わせた顔を綻ばせてサングラスを掛けた。
『まぁ、良い・・・あとは頼むぞ』
『あっ・・・ああ、気をつけろよー』
たったひとりに見送られて、旅立つテギョンとミニョだった。
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『行ったの!?』
リビングで、時計を見ながらお茶を飲んでいたシヌにミナムが声を掛けたのは、15時を回った頃だった。
『ああ・・・14時の飛行機だ』
寝ぼけ眼で、キッチンで顔を洗い始めたミナムにシヌが苦笑いをしたが、冷蔵庫に作り置きの食材が在ることを教えていた。
『ふぅん・・・行ったか・・・』
『なんだ!?そういえば、お前、珍しく反対しなかったな』
いつもなら、テギョンの計画に横やりを入れて、あれはだめこれもだめというのがミナムの常だが、今回は、大人しい。
『うーん・・・もう良いかなぁ・・・って・・・』
『良いって!?』
『う・・・ん・・・ミニョもひとりで仕事に行く様になったし・・・ヒョンも・・・さ・・・』
口籠るミナムは、開け放たれた中庭への窓を見つめ、そちらを見るシヌは、首を傾げたが、それ以上口を開くことはしなかったのだった。
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『ご無沙汰してます』
『お久しぶり・・・お座りになって』
着席と料理を勧め乍ら、やって来た店員に洋酒を注文して、ナプキンを口に当てたファランは、アン社長の前に雑誌を差し出していた。
『これは!?』
『わたしの特集が載ってるの・・・暫く続くんだけど・・・それで・・・テギョンの事を・・・』
相談があると呼び出されたアン社長は、眉間を寄せファランの話を聞いていたのだった。