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『どういうことだっ!』
『社長、知ってたのっ!?』
シヌに続いてジェルミと社長室に渋い顔で入って来たふたりは、そこに座っているミナムを見止めて驚いていた。
『ミ・・・ナム・・・』
『ミナマっ』
振り返ったミナムは、シヌの握っている雑誌を見止め、舌打ちをしてアン社長に向き直った。
『どういうことか説明してくれ』
蒸し返す話の先を促すミナムは、両脇に静かに座ったジェルミとシヌを一瞥して溜息を吐いた。
『ファン・テギョンが誰の隠し子だって!?』
『オー、ミナマー、だから、それは・・・だな・・・』
しどろもどろで溜息を吐くアン社長は、シヌに睨まれ、ジェルミのふくれっ面に困り顔だ。
『社長は、隠してるつもりだろうが、俺達は知っているんだ』
『ファランソンベと何か約束があるのか!?』
ミナムに続き、シヌがファランの名を出したことに驚いたアン社長は、目を瞠って三人を見回すと深く長い溜息を吐いた。
『知ってるって・・・お前達・・・』
『ファン・テギョンは、モ・ファランの隠し子だ!ファン・ギョンセが父親だって事は公にされているが、母親は公表されてない・・・しなかったんじゃない!出来なかったからだ・・・モ・ファランって女は、自分の利益でしか物事を図らない・・・ギョンセssiに結婚をした事実は無い!けど、ヒョンを実子として認めてる!一貫して母親については語らないけどなっ!』
『この記事は、この前のジェルミの発言よりも衝撃的だぞ・・・これじゃぁ、テギョンを勘繰ってくれと言ってるようなものだ』
『社長ーどういうことか説明してよー』
テーブルに拡げた一冊の雑誌と同じ表紙を握り締めるシヌと突きつけるジェルミに顔を覆ったアン社長は、項垂れ、溜息を吐いて考え込み、極秘だぞと話を始めたのだった。
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『ヒョン!あれ!あれ食べたいですっ!』
テギョンのシャツを引っ張って、屋台の並ぶ店先に連れて行くミニョは、渋い顔を隠すサングラスの下の瞳に一瞬怯んでいた。
『うっ・・・何でも良いって・・・』
何でも良いと言ったのはテギョンだが、明らかにテギョンが好む店構えで無い事は、ミニョも重々承知している。
『あっ、じゃぁ、こっ、ここっ!ここで待っててくださいっ!ひとりっ・・・っで』
グイッと首根っこを掴まれたミニョは、テギョンに肩を抱かれ、腕に収まっていた。
『ヒョ・・・』
『オッパだ!お前・・・ヒョンと呼んだりオッパと呼んだりわざとか!?』
『へっ!?』
流暢に店主と会話を交わし、ミニョの手の中にお目当ての菓子を押し付けたテギョンは、パーカーのフードを目深にし、空を見上げた。
『まだ陽が高いな・・・海へ行ってみるか!?』
麗麗と連れだって歩くふたりに海岸通りの賑わいは、それでも森の中の木の様に寄り添わせ恋人同士の時間を与えてくれていたのだった。